「自由であることは幸せなのか」をテーマに製作された本作では、日本が生み出した「緊縛 / ロープアート」を用いて、不自由であるがゆえの安らぎ・自由であるがゆえの苦悩を艶やかに描きだす。
タイトルにある「Strings(縄/糸)」になぞらえて、糸が使われる楽器で構成されている本作。冒頭では、聖歌隊の神秘的な歌声に包まれながら、WasaViが子宮を模した緊縛の繭で目を覚ます。徐々に激しさを増していく音色とともに、もがき、縄から抜けだそうとするが、果たしてその先にあるのは、幸福か、それとも。
鮮烈なテーマ性と情景描写で退廃的な幻想世界へと誘うアーティスト、WasaVi。 彼の作品は、多様な音色を使い分けながら紡がれる鮮やかな物語と、CHANTをルーツとする独特のボーカルスタイルで、苦しみや葛藤をありのままに描き出す。
3歳からエレクトーン、6歳から作曲を始め、学生時代はSax、声楽、三味線など多様な楽器・音楽に親しむ。また、Ballroom MCとして日本最多の出演数を誇り、2022年にはイエガーマイスターがアジアで初めて手がけるクラブイベントNight EmbassyにてMCを担当。2020-23年には世界初のプロダンスリーグ「D. LEAGUE」におけるチーム「Benefit one MONOLIZ」の楽曲プロデューサーを務めた。 「過去の自分を救いたい」。
WasaViの楽曲のリスナーは、過去のWasaVi自身であるという。理想と現実、本音と建前、その狭間で揺れ動いてきた彼自身、そして今まさに苦しむ人へ寄り添うよう、艶やかな幻想世界を紡ぎ続ける。 オーケストラサウンドやエスニックサウンドを織り交ぜた生々しくも神秘的な音色で表現される退廃的な世界は、明るく前向きな世界に息苦しさを感じる人々の安息の地と言える。