こんにちは、WasaViです。

この度【2023年8月4日(金)】に新曲をリリースします。

タイトルは「Ocean of Strings」

縄/糸の海と名付けました。

今回の新曲は、自由を選択しなかった人に贈る曲です。

 

皆さんは「自由」という言葉が好きですか？

僕は高校生の頃から「自由」に違和感を覚えていました。

自由であることは幸せなのか。やりたいことをやるのは、幸せなことなのか。

『なりたい自分になろう。』『人生は一度きり。』

そんなキャッチフレーズは昔から色んな人が唱えていて、

実際多くの人を勇気づけています。

だけど、僕はその言葉を聞くたびに首を絞められ、生きる希望を失っていきました。

---

僕が音楽を始めたのは３歳の時。大阪の今里にあるイシイ楽器という教室から始まりました。

その時から作曲が好きでした。

自分の思い描いた世界を自由に描けるからです。

例えば、木の枝の上を走るリスを表したり

太陽と月が歌っている光景だって、木々の間を吹き抜ける風だって思いのままに表現できる。

自分の頭の中を自在に具現化してくれる「作曲」という表現方法が大好きでした。

そこから音楽に没頭していった僕は、小学3年生でサックスを始め、中学では声楽、高校では三味線と様々な音楽に触れました。

音楽と手を繋ぎながら歩いてきた人生。

いつかはアーティストになりたいな。いろんな楽器を使って色んな文化と繋がって、色んな音楽を作りたいな。

そんな夢を描いていました。

 

けれど段々と「自分は音楽家になれない」という現実に気付き始めます。

なんとなく見て見ぬ振りをしてきましたが、大学受験が近づいてきていました。

僕に2つの選択肢が突きつけられます。

一般の大学に進学するか、音楽の道に進むか。

この二択は高校生の僕にとって、自由を追い求めるか否かの分岐点に感じられました。

3歳からずっと夢見てきた音楽の世界。そこは自分が好きなことを好きに表せる世界。

自分はどちらに進むべきなのか。

 

僕が通っていた高校はいわゆる進学校でした。

当然周りの子も先生も受験に必死で取り組んでいて、朝から夜まで受験勉強の日々。

偏差値の高い大学に合格することが僕たちのゴールで、それこそが正義でした。

むしろ受験勉強に失敗することは「人生の失敗」であるとさえ信じ込んでいました。

なぜなら良い大学に行かないとお金が稼げないから。

 

「音楽を頑張って稼げばいいじゃん」なんて口が裂けても言えなかった。

だってコンクールで全国大会に行けたことなんてないじゃないか。

そんな僕なんかが音楽を選んでしまったら、良い暮らしができなくなるのは明らか。

なんなら今も死ぬ気で努力しているわけでもない。

音楽を諦めるのが正解なんだ。

そっちの方が百倍幸せになれるだろう。

この話は決して高校の教育が〜とかいう話ではないです。

全て自分が下した決断のお話。

 

僕は4年制大学に進学することを決断しました。

音楽を諦めました。

 

レールから外れて自由になることを恐れたのです。

自分を信じて努力ができませんでした。

挑戦できないなら、努力できないなら本当にやりたいことじゃないと思う人もいるかもしれません。

僕も大人になった今、そう思う面もあります。

 

けれど、当時高校生の僕は、「音楽」という自分が一番自由を感じる瞬間を全て切り捨てた。

なぜなら

努力することは、弱い自分と対面することだから。

僕にとって4年制大学に進学することは

好きなことが生み出す不安から逃げられる唯一の方法。

大学進学を選べば、まあ間違いはない。

しかも、それなりに努力はしてきた。

音楽なんてどんどん忘れてしまえば良い。

音楽に代わる新しい幸せを見つければ良い。

---

音楽を切り捨てることを決断したと同時に、僕のアイデンティティは跡形もなく崩れ去りました。

ずっと願ってきた夢を叶えられない自分の存在価値って何だろう？

何のために生きれば良いんだろう？

答えはもちろん出ない。出るわけがない。

やりたいことをしない自分自身に価値を見出せる人なんて、いるわけがない。

 

そんな中で「やりたいことをやろう」という言葉が頭の中でこだまします。

そうじゃない自分は？

そこに向かって努力できない自分は？

やりたいことをやらない自分の価値はどこにあるの？

ないに決まってる。

人生は一度きりなのに、こんな生き方を選んだ自分自身に価値を見出せるわけありません。

だって本当はやりたいことをやりたい。自由になりたい。

それは痛いほど分かっていました。

自分の弱さを突きつけてくる「やりたいことをやろう」に、どんどん首を絞められていきました。

 

僕は、この世の中には自由を選択しなかった人を認める言葉があまりにもないと思います。

努力できない事を受け入れる言葉があまりにもない。

そして、やりたいことを諦めさせてあげる言葉が、あまりにもない。

僕達はもう悩み疲れたのに、もう歩けないのに、まだ戦い続けることを求められる。

幾重にも悩んで、自分が幸せになるために下した決断に迷いが生じてしまう。

そんなのあまりにも残酷じゃないですか。

もう、自由から解き放たれたいのに。

楽になりたいのに。

なりたい自分なんて忘れたいのに。

 

8月4日に出る新曲は、前向きなキャッチフレーズに息を止められている人が少しでも楽になれるようにと思って執筆した曲です。

自分を含めて。

---

どうして「やりたいことをやる」ことが怖いのか。

じゃあどうすればいいのか。

それが今回のタイトルにもなっている「縄」とどう結びついてくるのか。

それについて思うところの記事を来週日曜日に公開します。

どうぞ次回を楽しみにお待ちください。

 

WasaVi

Ocean of Stringsニュースリリース

最新情報はこちら：Instagram