Ocean of Stringsの使用楽器 – 後編 ストリングセクション-
こんにちは、WasaViです。
この度【2023年8月4日(金)】に新曲「Ocean of Strings」をリリースします。
「糸」を意味するStrings。
この言葉通り、本作で使用している6つの楽器は、糸を使った楽器です。
前回の記事ではその中のピアノとハープについて紹介しました。
今日は本作に使われている、残り4つの楽器を、かなり簡単に紹介します。
その4つの楽器とは、オーケストラの花形でもある、ストリングセクションの楽器達
擦弦楽器の登場です。
Contents
①ヴァイオリン 〜作曲家に最も愛された楽器〜
弦楽器の中で最も馴染みがある楽器といえば、ヴァイオリンではないでしょうか。
西洋音楽の中心を担うと言っても過言ではないこの楽器。
数々の作曲家達はヴァイオリンを中心としてオーケストラを作曲してきました。
実際、オーケストラ楽団の責任者であるコンサートマスターは、1stヴァイオリン奏者から選ばれます。
それほどにオーケストラの中心を担う楽器がヴァイオリンです。
そんなヴァイオリンの魅力といえば何と言ってもその高音。
高音を担当する楽器は沢山ありますが、ヴァイオリンはその中でも刺激的かつ可憐な音を奏でます。
(少し理論的にいうと、例えばフルートの高音は、高音域の部分音の混ざり方が控えめなので柔らかい印象がある。
対してヴァイオリンは高音域に含まれる部分音が多く、明瞭かつ刺激的に聞こえる。
高音担当のトランペットは音の出始めが基音に近いので、安定した響きに聞こえる。
ヴァイオリンは音の出始めも高音域から始まるので、より繊細に聞こえる。)
弦を擦ることで出るあの音は、実は非常に繊細で、少しでも音の欠片の配分が狂うと不快音になってしまう。
常に危険と隣り合わせだからこそ、あの刺激的で可憐な音色が出せるのだと思います。
その可憐さは、数々のオーケストラの中でもピックアップされています。
「英雄の生涯」という曲では英雄の妻を演じたり
「シェヘラザード」という曲ではシェヘラザード姫として現れます。
多くの作曲家に愛され可能性を広げてきたヴァイオリン。
Ocean of Stringsではどのような表情を見せるのでしょうか。
②ヴィオラ 〜高音パートと低音パートの橋渡し〜
さて、ストリングセクション2つめの楽器はヴィオラです。
ヴァイオリンより約5cmほど大きいこの楽器は、深みのある柔らかい音色を奏でます。
ストリングセクションには華がありますが、ヴィオラの歴史は華々しいものではなく、むしろ目立たない存在でした。
時は遡り、弦楽器の黄金時代でもある17世紀から18世紀のバロック時代。
当時、「トリオソナタ」という演奏形態が人気を博していました。
これはヴァイオリンなどのメロディー楽器とチェロなどの低音楽器で構成された演奏形態です。
そこにヴィオラの姿はありませんでした。
管弦楽曲で当時人気のコンチェルト・グロッソという演奏形態でも、ヴィオラの姿は滅多に見られませんでした。
ヴィオラにスポットライトが当たり出すのは、その後の古典派時代です。
「弦楽四重奏」という現在も人気のある演奏形態が誕生したことでヴィオラは存在感を増していきました。
これはヴァイオリン2本にヴィオラ、チェロで構成されるものです。
かの有名なモーツァルトは特にヴィオラを好んだと言われ、ヴィオラを2本使った弦楽五重奏を書いています。
このような歴史を経て今日までヴィオラは可能性を広げていきました。
ヴィオラは、ハーモニーを決める重要な役割を担うことも多く、オーケストラ全体を支える重要な楽器。
是非一度その音色を聞いてみてください。
③チェロ 〜WasaViが最も好きな弦楽器〜
3つ目の楽器はWasaViが最も愛する弦楽器、チェロです。
チェロは全ての楽器の中でも多彩に活躍する楽器です。
ある時は低音パートとしてオーケストラを支え、ある時はソロパートで観客を惹きつける。
ヴァイオリンと双璧をなすチェロですが、その音色は深く優しく、そして威厳のある音色。
20238/4(金)リリースされる “Ocean of Strings” でも最初のパートのソロを担当しています。
そんなチェロも、最初から幅広く活躍していた訳ではありません。
初期の時代、チェロは低音パートを担うことが多く、ソロを弾くとなるとヴァイオリンに光が当たっていました。
そんな中、17世紀後半にとある弦(※1)が開発されたことで、多くの作曲家がチェロに注目し始めます。
その弦こそ、元々ある羊の腸の繊維を乾燥させて捻った「ガット弦」という弦に、金属性ワイヤーを巻きつけたもの。
これの登場によって低音が安定して出せるようになり、数々の曲が書かれるようになりました。
その後も様々な優れた演奏家により注目を集めたチェロの人気は、「チェロ・クワイア」というチェロだけによる合奏形態が誕生するまでに上り詰めました。
ソロで観客を引き込むことも、低音でオーケストラを支えることもできる多彩なチェロ。
その可能性は今も素晴らしい作曲家と演奏家によって広げられています。
④コントラバス 〜縁の下の力持ち〜
オーケストラの縁の下の力持ちといえばこの楽器、コントラバスです。
舞台ではいつも壁際に座り、楽譜でも一番下に記載されるこの楽器。
ソロを演奏することがあまりなく、パッと聞いた時に印象に残り辛いこの楽器ですが
楽曲の土台を作るとてもとても重要な楽器です。
なぜなら、弦楽器の中で最も低い音を出すから。
楽器の大きさもレベルが異なり、全長180cm前後、重さは10kg前後の楽器となります。
そんなコントラバスの歴史は低音楽器の歴史です。
そもそもコントラバスが誕生した当初、オーケストラからは除外されていました。
ヴィオラの時に言った弦楽四重奏でもコントラバスは外されている。
その理由は多岐に渡り、例えば、大きな楽器であるので太くて丈夫な弦が必須なのに、当時の技術ではその弦を作ることができず、不安定な楽器だった、など。
コントラバスが幅を広げ出したのはロマン派の時代。
この時代はコントラバス以外の低音楽器も重宝され始めます。
なぜなら当時、作曲家が「もっと音量がほしい」「もっと豊かな表現がしたい」と考え出したからです。
そのために作曲家はコントラバスを含む様々な低音楽器をオーケストラに取り入れ、低音域の強化を始めました。
またコントラバスは他の低音楽器よりも音色が柔らかいので、ロマン派時代の深みのある音楽スタイルに大きく貢献しました。
このようにしてコントラバスは今日のような低音パートとしての地位を確立していきました。
ちなみにコントラバスがソロを担当する曲もいくつかあり、その中でも有名なのが「象」という曲。
重々しさと軽やかさが織り混ざった不思議な曲なので、ぜひ聞いてみてください。
ちなみにオーケストラで一番低音を出せる楽器はなんだと思いますか?
ピアノを除けば、コントラファゴットという吹く楽器(木管楽器)です。
次いでハープ。
次いでチューバ(特殊なコントラバスならチューバより低い音が出せます)
その次が普通のコントラバス。
という感じで、出せる最低音は他の楽器の方が出せたりもします。
最後に
今日は今週金曜日に公開される1st Single “Ocean of Strings”に使われている楽器から
ヴァイオリン / ヴィオラ / チェロ / コントラバス を紹介しました。
ついに今週金曜日に新曲が公開されます。
糸が生み出す様々な音色が混じり合い、完成された一曲。
どんな曲か、どうぞ楽しみにしていただけますと幸いです。
よろしくお願いいたします。
WasaVi
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