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こんにちは、シンガーソングライターのWasaViです。

「Vogue」というダンスジャンルを聞いたことはありますか?

エレガントでハイファッションなイメージのこのダンスは、Ballroomというコミュニティから誕生しました。

私は日本のBallroomシーンでMCをすることが多いのですが

今日は、Ballroom(Vogue)とは何ぞやを、とても簡易的に皆様にご紹介します!


Ballroomの歴史


Ballroomとは差別から身を守るためのシェルターであり、同時に彼らが勝ち取った「自由」そのもの。

このコミュニティを語る上で最も重要なキーワードは「ゲイ差別」「人種差別」です。

ここでは当時のゲイ、そして黒人ラテン人を取り巻く背景を簡単に紹介します。

当時は、今みたいに「僕はゲイだよ」と公に言うのが難しい時代でした。

なぜか。

そこには明らかな「同性愛差別」があったからです。

例えば、ゲイだと言う理由で人をクビにできたり

また、大多数の地域で同性間の性交渉は罰金対象でした。

このように、当時のアメリカはゲイに重い足枷をはめていたのです。

当時のゲイたちは、そんな社会の中で自分の居場所を探します。

行き着いた場所の一つが、NYの地下で行われているドラァグコンテストです。

そこでやっと自分のなりたい姿になれる…

と思った矢先、黒人ラテン人をもう一つの差別が襲います。

それが「人種差別」です。

当時は白人中心の社会だったことから、コンテストで勝つ人の多くは白人でした。

そのため、コンテストで勝つために肌を白く塗りつぶす黒人ラテン人もいたそうです。

これは彼達が求めていた「自由」ではありません。

彼らは様々な差別を耐え忍び、自由を求めました。

そして来たる1972年、NYのハーレム地区に「彼らのための」場所を作り出します。

その場所こそ「Ballroom」。

自分のジェンダーも肌の色も隠さなくていい場所は、彼らを差別から守り、同時に彼らに自由を与えました。

そこは、ありのままの自分で勝負ができる場所。

みんな夜な夜なクラブに集まり、「自分のなりたい姿」に変身していきました。

例えば「本当はモデルになりたい人」

そんな人は、まるで一流モデルかのようなファッションに身を包みクラブを練り歩く。

例えば「自分のゲイとしての性的魅力をアピールしたい人」

そんな人は、自身の性的魅力を振りまきながら、ランウェイを歩く。

これがBallroomの発祥です。


VOGUEの歴史


マドンナからリアーナ、今日ではビヨンセにまで愛されるダンスジャンルがあります。

それがVogue。

このVogueこそ、Ballroomが生み出した最大の栄光ではないでしょうか。

ところで雑誌の「VOGUE」はご存知でしょうか?

ダンスのVogueの名前はこの雑誌に由来します。

というのもVogueは「雑誌VOGUEのモデルのポージングの真似」から生まれたからです。

最初にVogueを作ったのはParis Dupréeという人です。

※Paris Duprée

Footstepsというクラブで遊んでいた彼は、ふと数人の黒人ゲイ達が喧嘩しているのを見かけます。

そして彼らを挑発しようと、何を思ったかカバンから雑誌VOGUEのコピーを取り出し、音楽に合わせてモデルのポーズをとり出しました。

その姿はたちまちゲイ達の間で話題となり、当時のクラブに通うゲイ達はディスコミュージックに合わせてポーズをきめ、その美しさを競い合います。

まるで「私のポーズの方があなたのポーズよりも素敵よ」とでもいうように。

その競い合いこそが、Ballroomが生み出したVogueなのです。

Chycca Xtravaganza from Japan

そこからVOGUE(Voguing)は発展していき、現在では下記3つを主として様々なスタイルに分かれました。

  1. Oldway(もっともクラシックなスタイル)
  2. Newway(Oldwayをベースとして複雑な腕の動きや関節技などがスタイル)
  3. Vogue Femme(フェミニンさが強調されたスタイル)

上の動画はアメリカNew Yorkで行われたVogue Femme Dramaticsのバトルです。

(Vogue Femmeの中でもDramaticsSoft and Cuntというスタイルに分かれます)


Ballroomでは何が行われているの?


一点誤解して欲しくないのは、BallroomとはVOGUEのダンスバトルのみが行われている場所ではありません。

思い出して欲しいのですが、さっき僕は

例えば「本当はモデルになりたい人」

そんな人は、まるで一流モデルかのようなファッションに身を包みクラブを練り歩く。

例えば「自分のゲイとしての性的魅力をアピールしたい人」

そんな人は、自身の性的魅力を振りまきながら、ランウェイを歩く。

と言いました。

そう。BallroomおいてVogueはその一部であって、他にも色々バトルカテゴリーがあります。

例えば、モデルのようなウォーキングを競い合う「Runway(ランウェイ)」

自分の奇想天外な服飾スキルを競い合う「Bizzare(ビザール)」

※因みに上の動画は日本で開かれた大会です。

自分の性的魅力を競う「Sex Siren」など、

競い合う種類は決してダンスだけではありません。

バトルのカテゴリーにも色々と種類がありますが、その話はまた追い追い投稿します。


要は、「Ballroomとは人種差別、ゲイ差別から解放される場所」なのです。

そんなカルチャーに惹かれた2014年から何年も経ち…

ありがたいことに僕は日本のBallroomシーンでのMCとして最多出演をしております。

今日ご紹介した事はBallroomのほんの一部でしかありません。

もしもっと知りたいと思ってくださったなら、他の記事でもっと詳しく説明しているので

是非ご覧くださいませ。

WasaVi

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